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蜂の子を採取する方法

古くから貴重なタンパク源として日本各地で食べられてきた蜂の子。蜂の多くは山や森の中に巣をつくり、人は自然に生息する蜂の巣を見つけることで蜂の子を採取してきました。
蜂の子の産地では、どういった方法で蜂の巣を見つけ、蜂の子を採取しているのでしょうか。

蜂の子は巣と一緒に採取

蜂の子は、その名の通り蜂の子供です。蜂の幼虫やサナギは、蜂の巣の小部屋に一匹ずつ分かれて生息しています。
このため、蜂の子を採る場合は蜂の巣ごと採取する必要があり、巣を採取した後、巣の小部屋から幼虫やサナギをピンセットなどで取り出します。

山間部などで自然から採取される蜂の巣は、クロスズメバチの巣が中心です。クロスズメバチは地域によってヘボ、ジバチ、タカブ、スガレなどと呼ばれます。クロスズメバチは地面の下に巣をつくるため、巣を見つけるために特殊な方法を用います。

クロスズメバチの蜂の子の採り方

長野県では、クロスズメバチの巣を見つける猟法を「ハチ追い(スガレ追い)」と呼びます。かつては食料採取の目的とともに、子供の遊びとしても行われ、現在も半ば大人のレジャーとして続けられています。
スズメバチ類は秋に繁殖が最も盛んになり、クロスズメバチの巣の採取も9月から10月の秋が最盛期です。

蜂の巣の採取は危険

なお、蜂の巣の採取は大変危険です。毎年蜂に刺されて何人もの死者がでています。熟練した人でも、刺されて重度のアレルギー症状になり、場合によっては死に至る可能性もあります。知識や経験のない人が、安易に蜂の巣に近づいてはいけません。

地面の下の巣を見つける

蜂の巣を見つける方法としては、飛んでいる蜂の移動経路や蜂が巣を作りやすい場所を観察して、蜂の巣の場所を予測する方法と、エサを巣に運んでいる蜂を追跡する方法があります。
後者の蜂を追跡する方法が「ハチ追い」と呼ばれる猟法です。

ハチ追いの方法

クロスズメバチは肉食で、昆虫やクモ、カエルなどの肉をエサにします。エサを見つけると仲間を呼び、エサを小さく丸めた肉団子にして少しずつ巣へ運ぶ習性があります。エサを巣に運びきるまでの間、蜂たちが飛ぶルートは一定です。
ハチ追いを行うには、あらかじめ小さく丸めたエサに綿やビニール片など目印をつけたものを用意しておきます。そして、カエルなどの生肉、魚、イカ、昆虫などの蜂のエサになるものを使って蜂をおびき出し、用意しておいた目印付きのエサを蜂に持たせます。
クロスズメバチは、エサを丸めている間は他に注意を払わないため、近寄ってエサを持たせることができます。
蜂が目印付きのエサを巣に運ぶために飛び立ったら、急いで山の中を追跡します。蜂から目を離せないため、転んでケガをすることが多く注意が必要です。通常、蜂の追跡は何人かで協力して行います。蜂を追いかけていくと、蜂が地中から出入りしている場所があります。そこがクロスズメバチの巣の入り口です。

巣を見つけたら、巣の採取に取り掛かります。

巣を取り出す

巣を見つけても、すぐには巣を採取できません。巣には幼虫だけでなく成虫がたくさんいるため、近づくと集団で襲ってきます。

巣を見つけたら、煙幕花火などを使って蜂の巣を煙で燻します。煙で燻されると蜂は仮死状態になるため、この間に蜂の巣を地面から掘り起こします。
長野県では、蜂の巣を燻すための専用の煙幕が販売されています。

巣を採取したら離れる

蜂の巣を採取したら、煙幕の効果が切れる前に巣から離れます。
仮死状態から戻った蜂は気が立っているため大変危険です。安全な場所に移動してから、蜂の子を巣から取り出します。

蜂の巣から蜂の子を取り出す

蜂の子は蜂の巣の小部屋に一匹ずつ入っており、ピンセットなどで取り出す必要があります。
サナギが入っている小部屋は表面に白い幕がかかっているため、剥がしながら取り出します。

巣から取り出したあとの下処理

取り出した蜂の子には、幼虫、サナギ、羽化直前の個体が含まれています。
巣の破片などがついているため、流水などで洗ってから調理します。
幼虫の体の中心には黒い内臓部分があり、内臓部分は苦味などのクセや食感の悪さの原因となるため、取り除いた方が味は良くなります。

クロスズメバチの養殖も行われている

長野県や岐阜県などでは、まだ小さい段階のクロスズメバチの巣を採取して女王バチと共に持ち帰り、巣箱に移して大きくする「飼い巣」と呼ばれる半養殖も行われています。

大きく育てた蜂の巣から蜂の子を採取するほか、育てた巣の大きさを競う「蜂の巣コンテスト」が、長野県や岐阜県などクロスズメバチの養殖が盛んな各地域で毎年開催されています。

素人は巣に近付かない

ハチ追いが行われる秋は、スズメバチ類の活動が最も盛んになり、攻撃性も増しています。
ハチ追いの方法をご紹介しましたが、大変危険であり、素人が行ってはいけません。
蜂の子を購入するために産地に行く場合でも、刺されないよう最大限の注意が必要です。

都市部でも巣を作る

近年、人が出すゴミをエサとすることを覚えたキイロスズメバチなどが、都市部で巣を作ることも増えてきました。専門知識のない人がスズメバチの巣に近寄るのは大変危険です。自宅付近などで蜂の巣を見つけても、安易に巣を採取しようと考えてはいけません。蜂の巣を取り除く場合は、役所や専門の業者に相談しましょう。

まとめ

蜂の子を自然から採取する方法には、「ハチ追い」と呼ばれるエサを持たせた蜂を追跡する方法があり、現在でも半ばレジャー化して続けられています。
蜂の巣の採取は大変危険なので、素人が行ってはいけません。

巣が山の中にあるため、採取に大変な労力を必要とする貴重な蜂の子。日本の伝統的な食文化を体験する意味でも、いちど蜂の子を食べてみることをお勧めします。

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