蜂の子はタンパク質が豊富
滋養強壮に効果的な健康食品の蜂の子。古くから貴重なタンパク源として食されてきた蜂の子には、タンパク質を構成するアミノ酸が豊富に含まれています。
アミノ酸は身体を構成する主成分で、身体の健康維持に欠かすことのできない栄養素です。今回は、蜂の子に含まれるタンパク質・アミノ酸とその効果について解説します。
蜂の子はタンパク源
古くから、蜂の子は貴重なタンパク源として珍重されてきました。
日本食品標準成分表によれば、蜂の子(はちの子缶詰)100グラムあたりに含まれるタンパク質の量は16.2グラムです。
これはタンパク質が豊富なことで知られる納豆や、豚肉、牛肉などと同程度です。蜂の子には身体に欠かせないタンパク質が豊富に含まれています。
蜂の子はアミノ酸のバランスが良い
タンパク質はアミノ酸から構成されており、蜂の子にはアミノ酸が豊富に含まれています。
人間が身体で生成できず、食品から摂取する必要のあるアミノ酸を必須アミノ酸といいます。
蜂の子は、この9種類ある必須アミノ酸すべてを含む19種類のアミノ酸を含んでいます。
9種類ある必須アミノ酸は、全種類をバランス良く摂取しないと有効利用されないことが知られています。
すべての必須アミノ酸を含む蜂の子は、アミノ酸を効率的に利用するうえで非常に優れた食品です。
食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを評価するアミノ酸スコアという指標があります。蜂の子のアミノ酸スコアは最高値の100です。蜂の子には身体に必要なアミノ酸がバランス良く含まれているのが分かります。
蜂の子のアミノ酸のバランスはスポーツ栄養学でも注目され、蜂の幼虫の分泌液に含まれるアミノ酸のバランスを参考にした運動サポート食品が開発・販売されています。
蜂の子に含まれるアミノ酸の効果
蜂の子には、19種類のアミノ酸が含まれています。それぞれのアミノ酸には身体の健康に役立つ効果があります。蜂の子に含まれるアミノ酸が持つ健康効果としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 筋肉や体力の増加
- ストレス軽減効果
- 血行促進効果
- 質の良い睡眠を促す効果
- 美肌効果
- 免疫力の向上
- 生活習慣病の予防
- 認知症の予防
これらの効果を持つ成分を具体的にみていきましょう。
蜂の子に含まれるアミノ酸
蜂の子に含まれるアミノ酸を個別にみていきましょう。まず必須アミノ酸について解説し、次に体内でも合成される非必須アミノ酸について解説します。
必須アミノ酸
バリンは筋肉を構成する主成分で、筋肉修復効果や疲労回復効果があります。筋肉は運動時に血液中のエネルギーが不足すると、自らを分解してエネルギーとして利用します。バリンの摂取は、この筋肉の分解を防ぐ働きがあり、筋肉量の維持やスタミナの維持に役立ちます。筋肉の疲労回復にも役立つため、スポーツドリンクなどにも配合されています。
バリンは体内でグルタミン酸を生成する材料にもなります。グルタミン酸はアンモニアを無毒化する働きがあるため、バリンは身体に有害なアンモニアの代謝にも役立ちます。
バリンは、肌の弾力を保つために重要なエラスチンというタンパク質を生成するためにも必要で、ハリのある肌の形成に役立ちます。
ロイシンはバリンと同じく筋肉の主成分で、筋肉の増加や疲労回復に役立ちます。ロイシンには肝臓の機能を補助する働きもあります。ロイシンが不足すると筋肉のエネルギーとなるグリコーゲンの合成が滞り、エネルギー不足から筋肉疲労を引き起こします。
ロイシンは、すい臓からのインスリンの分泌を促進する効果もあります。インスリンは血糖値を調整する働きがあるため、ロイシンの不足は腎機能への悪影響や糖尿病を招きます。
イソロイシンは、バリンやロイシンと同じく筋肉の主成分です。イソロイシンは筋肉のエネルギーとなるグリコーゲンを体内に貯蔵する働きがあり、スタミナの維持に重要です。イソロイシンには、血液中の糖質を筋肉に取り込むよう促す作用があり、血糖値のコントロールにも役立ちます。身体の成長に関わる甲状腺ホルモンの分泌を活発にする働きもあり、筋肉の増加や身長の伸びを促進する効果もあります。
リシン(リジン)は体内でアミノ酸からタンパク質を合成するのに必須です。身体の細胞や組織の修復を助け、肝機能を高める働きもあります。リシンはタンパク質の吸収や糖の代謝にかかわり、不足するとエネルギー不足から集中力の低下や、めまいなどが起こります。カルシウムの吸収を促進する作用もあり、丈夫な身体の形成に不可欠な成分です。
免疫機能を支える免疫細胞や抗体はタンパク質でできており、タンパク質の合成に関わるリシンは、免疫機能の維持・向上にも役立ちます。ウイルスの影響で唇などに疱疹ができるヘルペスの予防・改善にも用いられる成分です。
フェニルアラニンは体内でドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の材料になります。神経伝達物質は、脳や神経で情報信号を伝達する役割を持っています。これらはストレスホルモンとも呼ばれ、ストレスに対処して気力や集中力を維持するのに必要です。神経伝達物質の量や機能の低下が原因とされる、うつ病の症状改善にも効果的とされています。
トレオニンには肝臓の代謝機能を助け、脂肪肝を防ぐなど肝臓を保護する効果があります。新陳代謝を促す働きもあり、身体の成長促進に役立ちます。
トレオニンは、肌の弾力とハリに重要なコラーゲンの材料としても重要です。肌の潤いを保つ保湿成分にもトレオニンは含まれており、肌の健康維持や美しい肌の形成に役立ちます。
ヒスチジンは、子供が体内で合成できず、大人になると体内で合成できるようになるという特徴があります。ヒスチジンは身体の成長に関わるため、成長期の子供には欠かすことのできない栄養素です。
ヒスチジンは神経の機能を助ける働きもあります。赤血球を生成する際にも必要になるため、貧血の予防に役立ちます。ヒスチジンの不足は、皮膚疾患や神経の異常を引き起こします。
トリプトファンは体内でセロトニンとメラトニンに変換されます。精神の安定や質の良い睡眠に役立ち、アメリカでは不眠症、時差ボケ、うつ病などの症状に処方される場合があります。
トリプトファンから生成されるセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、精神を安定させる作用や寝つきをよくする働きがあり、ストレスの軽減や質の良い睡眠に役立ちます。
メラトニンには、体内時計を調整する働きがあります。睡眠中は浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠が交互に訪れます。メラトニンはこの睡眠サイクルを安定させ、深いノンレム睡眠の時間を増やす作用があります。
メチオニンはセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなど神経伝達物質の分泌を促進して、うつ症状の改善やストレス軽減に役立ちます。
メチオニンには、肝機能を助けて脂質などの代謝を促進する作用があります。脂質の代謝促進は血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化の予防や血行促進に役立ちます。
メチオニンには、抗酸化作用をもつミネラルを適切な場所に運ぶ働きもあります。増えすぎると細胞を酸化させて老化を促す活性酸素の中和を助けることで、細胞の老化防止に役立ちます。
非必須アミノ酸
タウリンには、細胞や身体の機能を正常な状態に保つ働きがあり、高くなりすぎた血圧を抑える作用があります。
タウリンには肝臓の機能を補助する働きがあり、胆汁酸の分泌促進や肝細胞の保護に役立ちます。タウリンは肝機能を高めるため、血液中の悪玉コレステロール値を下げる働きがあり、動脈硬化や生活習慣病の予防に効果的です。
タウリンには筋肉の収縮力を高める効果もあります。筋肉の収縮力は腸のぜん動運動に重要です。タウリンは腸の動きを活発にして、便秘予防にも役立ちます。
グルタミン酸は脳で神経伝達物質として働きます。脳機能を活性化するため、認知症の予防や記憶力の向上に効果があるといわれています。
グルタミン酸には、アンモニアを体外へ排出するのを助ける作用もあり、身体の健康維持に役立ちます。
アスパラギン酸は、疲労の原因となる乳酸の分解を促進する働きがあり、疲労回復に役立ちます。糖の代謝にも関わり、筋肉のエネルギーになるグリコーゲンの生成を促進します。
アスパラギン酸には、肌の新陳代謝を活発にする作用もあります。肌の潤いを保つ働きもあり、化粧品などにも配合されています。
プロリンはコラーゲンの主な材料の一つです。コラーゲンは肌のハリと弾力を保つほか、関節の軟骨の主成分です。このため、プロリンは美しい肌の形成や、関節痛の予防に役立ちます。
プロリンには脂肪を分解する酵素リパーゼの働きを活性化する作用があり、脂肪の代謝を助けます。生活習慣病や肥満の予防にも効果的です。
アラニンには肝機能を高める働きがあり、アルコールの代謝を促進します。この働きにより、アラニンは生活習慣病の予防に役立ちます。
人の肌に備わっている肌の潤いを保つ成分を天然保湿因子といいます。アラニンはこの天然保湿因子の構成成分で、潤いのある肌をつくります。この作用から、アラニンは化粧品にも配合されています。
グリシンには高い安眠効果があることが確認されています。グリシンには血管を拡張する働きがあり、入眠時に身体の表面体温を上げて熱を放出します。これにより身体の深部体温が下がります。人は眠る際に体温を下げようとするので、グリシンの働きは自然な睡眠を促します。グリシンには、睡眠のサイクルを整えて、深い睡眠の時間を増加させる作用もあり、睡眠の質の向上に役立ちます。
グリシンは、コラーゲンを構成するアミノ酸の約3分の1を占めるコラーゲンの主成分です。グリシンの摂取によりコラーゲンの生成が促され、ハリと弾力のある肌の形成や関節痛の予防に役立ちます。
チロシンは食品から摂取できるほか、体内で蜂の子に含まれているフェニルアラニンからも合成されます。チロシンはストレスの対処に重要なドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の材料になります。ストレス条件下の人間にチロシンを投与した実験で、ストレスへの抵抗力が上がることや、気分の改善効果があることが確認されています。これらの効果により、チロシンは、うつ症状の改善にも役立つとされています。
チロシンは髪を黒くする色素のメラニンを作る際にも必要で、白髪予防にも役立ちます。
アルギニンは体内で一酸化窒素を生成する材料になります。一酸化窒素は血管を拡張する働きがあり、血行を促進します。
アルギニンの血行促進効果は、男性機能の向上にも役立ちます。アルギニンを継続的に摂取した実験で、男性機能の改善がみられたとの報告があります。このため、アルギニンは精力剤の多くに配合されています。
アルギニンは免疫細胞のひとつマクロファージの働きを活性化して、免疫力向上に役立ちます。アルギニンには成長ホルモンの分泌を促し、筋肉を増加させる働きもあります。
セリンは質の良い睡眠を促し、ストレス軽減や自律神経のバランス維持に役立ちます。睡眠が十分にとれていない人に対してセリンを摂取させる実験を行ったところ、寝つきや睡眠の満足度が改善されたという報告があります。
セリンは脳のエネルギーになるホスファチジルセリンの生成にも必須の成分です。脳の活動に関わるため、セリンは認知症の予防にも効果があるとされています。
シスチンは、皮膚・髪・爪などの形成に役立ち、これらの健康状態を高める作用があります。肌の美白効果もあり、化粧品にも配合されている成分です。
シスチンには、増えすぎると細胞の老化の原因になる活性酸素から身体を守る働きもあります。
多くの健康効果のある蜂の子のアミノ酸をみてきました。
成分はそれぞれ有効ですが、これらの成分を一つの食品からバランス良く摂取できるのが、蜂の子の大きな利点です。
蜂の子のタンパク質で健康増進
蜂の子にはタンパク質が豊富で、タンパク質を構成するアミノ酸がバランス良く含まれています。
蜂の子に含まれるアミノ酸には多くの健康増進効果があります。
丈夫な身体を作って健康的な毎日をおくるために、いちど蜂の子を試してみることをお勧めします。