蜂の子は伝統的な漢方薬

蜂の子は、古くから滋養強壮に効果的な健康食品として珍重されてきました。健康に役立つ数多くの有効成分を含む蜂の子は、食品だけでなく漢方薬としても古くから使われています。漢方医学に影響を与えた伝統中国医学においても、蜂の子は薬として使用されてきた歴史があります。

蜂の子は耳鳴りに効く漢方薬

漢方医学は、飛鳥時代以降に伝来した伝統中国医学の知識を参考に、日本で独自に発展した伝統医学です。漢方薬は漢方医学において処方される薬で、蜂の子は漢方薬のひとつとして利用されています。
蜂の子には数多くの滋養強壮効果がありますが、漢方薬としての蜂の子は、主に耳鳴りの改善を目的として利用されています。

蜂の子の耳鳴り改善効果は研究で確認されている

蜂の子は耳鳴り症状の改善に効果的です。耳鳴りに対する蜂の子の効果は、大学病院による複数の研究でも明らかになっています。

中国の北京医科大学と天津医科大学の共同研究において、耳鳴りやめまいの症状をもつ患者に1日3回蜂の子の粉末50mgを摂取させる実験が行われました。その結果、70%以上の患者に耳鳴りやめまいの大幅な改善がみられたことが報告されています。

岐阜大学医学部の研究でも、蜂の子の耳鳴りに対する効果が確認されています。この実験では、耳鳴りに伴う苦痛や不安の軽減効果や、聴力レベルの改善効果、血液中のコルチゾール値を低下させる効果が、蜂の子にあることが確認されています。
コルチゾールはストレスによって発生するホルモンで、耳鳴りや難聴の症状がある人は、血液中のコルチゾール値が高い傾向にあります。蜂の子は血液中のコルチゾール値を低下させ、耳鳴りや難聴の予防・改善に役立つことが、この実験で明らかになっています。

蜂の子の効果は耳鳴りの改善に役立つ

耳鳴りには様々な原因があり、脳腫瘍などの危険な病気の可能性もあるため、まずは医師の診察が必要です。
こうした病気のほか、ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れや、耳付近の血行悪化も耳鳴りの原因になります。蜂の子にはこうした自律神経の乱れや血行悪化を防ぐ効果があり、耳鳴りの予防・改善に役立ちます。

ストレス軽減

蜂の子にはストレスを軽減する成分が豊富に含まれており、ストレスを原因とする耳鳴り症状の改善に役立ちます。
蜂の子に含まれるフェニルアラニンは、ドーパミンやアドレナリンといったストレスに対処するためのホルモンの生成を促進します。
トリプトファンは体内でセロトニンに変換されます。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、精神を落ち着かせる作用があります。
アミノ酸のチロシンは、ストレス条件下の人間に投与した実験で、気分や認識作用を改善する効果が確認されています。
カルシウムやマグネシウムには、神経の情報伝達を助けて精神を落ち着かせる働きがあります。
蜂の子に含まれるこれらの成分はストレスの軽減に役立ち、自律神経のバランス維持を助けて、耳鳴り症状の予防・改善に役立ちます。

睡眠の改善

蜂の子に含まれるアミノ酸のグリシン・トリプトファン・セリンには高い安眠効果があることが、実験で確認されています。
グリシンには血管を拡張する作用があり、入眠時に身体の表面体温を上げて熱を放出し、深部体温を低下させます。人間は睡眠時に体温を下げようとするので、グリシンの働きによって自然な睡眠がもたらされます。
トリプトファンは体内でメラトニンに変換されます。メラトニンには体内時計を調整する働きがあり、深い睡眠を促します。
セリンには安眠効果があることが、実験で確認されています。十分に睡眠が取れていない人を対象とした実験で、就寝前にセリンを摂取させたところ、寝つきや睡眠の満足度に改善がみられたことが報告されています。

蜂の子には、睡眠の改善に役立つこれらのアミノ酸が含まれており、睡眠不足による耳鳴りの予防・改善に役立ちます。

血行促進

蜂の子には、血管を拡張する効果のあるアルギニンやグリシンが含まれています。これらの成分には身体の血行を促進する働きがあり、内耳の血行不良による耳鳴りを防ぎます。

漢方薬としての蜂の子は、主に耳鳴りの改善目的で使用されます。蜂の子の耳鳴り改善効果は、以上のように科学的にも確認されています。

伝統中国医学で薬として利用された蜂の子

漢方医学に影響を与えた伝統中国医学でも、蜂の子は薬として使われていました。伝統中国医学での蜂の子の利用と効能について解説します。

中国最古の薬物書に蜂の子が記載されている

蜂の子は、古来より薬としても利用されてきました。その歴史は古代中国にまでさかのぼります。約2000年前に記された中国最古の薬物書である『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』に、蜂の子についての記載があります。

『神農本草経』には一年の日数と同じ365種類の植物・動物・鉱物が薬として収録されており、人体に作用する薬効の強さによって上品・中品・下品の3つに分類されています。蜂の子はこのうち最高ランクの上品に位置しており、無毒で長期間の服用が可能な養命薬とされています。

具体的な効能としては、頭痛の治療、虚弱を補う効果、皮膚に光沢がでて顔色を良くする効果、老化防止などが挙げられています。
『神農本草経』には古代中国に伝わる薬物の知識が収録されており、少なくとも約2000年前から蜂の子が薬として使用されていたことが分かります。

明時代の薬学書にも蜂の子が記載されている

中国古来の薬学史上、内容が最も充実した薬学書である『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも、蜂の子についての記載があります。『本草綱目』は中国の明代、1578年に完成した書物です。この書物では『神農本草経』に書かれている効能に加えて、腹痛、皮膚の感染症、黄疸、風疹、便秘などに効果があると記されています。
日本では、1607年に林羅山が長崎で本草綱目を入手し、徳川家康に献上しています。このことは家康が本格的に本草研究を行うきっかけになったといわれており、日本での漢方医学の発展にも影響を与えています。

蜂の子の効能の科学的根拠

蜂の子に含まれる栄養素の分析により、伝統中国医学の薬学書に書かれている効能には、科学的にも一定の根拠があることが分かっています。

虚弱を補う効果

蜂の子は滋養強壮効果があることで知られ、体力増強に役立ちます。特に蜂の子はアミノ酸が豊富で、アミノ酸は筋肉増強や疲労回復に効果的です。バリン・ロイシン・イソロイシンは筋肉の主成分となるアミノ酸で、蜂の子に豊富に含まれています。蜂の子には糖・脂質・タンパク質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンも含まれており、エネルギーの産生を促進して、弱った身体に活力を与えます。

顔色を良くする効果

蜂の子には、若々しい肌の形成に役立つ成分が数多く含まれており、顔色を良くする効果があります。

蜂の子には、肌の弾力のもとになるコラーゲンの材料が豊富に含まれています。コラーゲンはグリシン・プロリン・アラニンなどのアミノ酸が主成分です。コラーゲンの生成にはビタミンCも必要で、蜂の子にはこれらの栄養素がすべて含まれています。

蜂の子には、肌に潤いを保つ成分も含まれています。肌にもともと備わっている保湿成分を天然保湿因子(NMF)といい、天然保湿因子の約4割がアミノ酸で構成されています。蜂の子にはアミノ酸が豊富に含まれており、天然保湿因子のアミノ酸を補って、肌に潤いを与えます。

このほかにも、血行を促進するアルギニンやグリシンといったアミノ酸や、細胞分裂に欠かせない亜鉛も蜂の子には含まれています。これらの成分は肌の新陳代謝を活発にして、若々しい肌の形成に役立ちます。

老化防止

人の体内では、日々の呼吸によって活性酸素が発生しています。活性酸素は身体に必要な成分ですが、活性酸素が増えすぎると、細胞を酸化させて身体の老化を促進します。

蜂の子には、この活性酸素を中和する抗酸化作用のある成分が含まれています。ビタミンCは高い抗酸化作用を持ち、メチオニンには身体の抗酸化作用を高める働きがあります。また、蜂の子に含まれる鉄とタンパク質は、活性酸素を中和するための酵素の材料になります。
これらの成分の抗酸化作用により、蜂の子は増えすぎた活性酸素の中和を促進して、身体の老化を防ぎます。

免疫力の向上

『本草綱目』に記された蜂の子の効能には、風疹などの感染症に関するものがあります。蜂の子に含まれる成分には免疫力を高める効果があり、感染症の予防に役立つという伝統中国医学における蜂の子の効能は、科学的にも根拠があります。

蜂の子には、免疫機能に必要な栄養素が豊富に含まれています。
リンパ球・顆粒球などの免疫細胞の主成分は、蜂の子に豊富に含まれるタンパク質です。抗体や補体といった免疫機能の基礎となる物質もタンパク質です。また、亜鉛は免疫機能に不可欠で、不足すると免疫細胞を生成する胸腺が小さくなり、免疫不全を起こします。さらに、鉄や銅が不足すると免疫細胞の数や機能が低下します。これらの免疫機能に必要な栄養素が、蜂の子にはすべて含まれています。

蜂の子には、血行を促進する効果やストレスを軽減する効果、質の良い睡眠を促す効果もあります。これらの効果は、身体の機能を調整している自律神経のバランス調整に役立ち、免疫力を向上させます。

便秘解消

蜂の子に含まれる成分は、便秘の解消にも効果的です。
脂肪酸の一種オレイン酸は、小腸で消化吸収されにくく、腸に刺激を与えて腸の動きを活発にします。
アミノ酸の一種タウリンには、筋肉の収縮力を高める効果があります。筋肉の収縮力が上がることで腸のぜん動運動が活発になり、便秘が解消されます。
必須アミノ酸の一種トリプトファンは、体内でセロトニンに変換されます。セロトニンは腸の動きに関係しており、セロトニンの不足は便秘の原因になります。

蜂の子にはこれらの成分が含まれており、便秘の解消に役立ちます。伝統中国医学において便秘解消に役立つとされた蜂の子の効能は、科学的にも裏付けられています。

黄疸に対する効果

黄疸は、ビリルビンと呼ばれる物質が過剰になることで、眼や皮膚が黄色く染まる症状です。黄疸の原因のひとつに肝臓の障害があります。例えば肝炎や肝硬変などが起こると、ビリルビンが処理されずに黄疸の症状が発生します。

蜂の子には、肝臓の機能を補助する成分が豊富に含まれています。
タウリンには、肝臓の胆汁酸の分泌や肝細胞の再生を促す働きがあります。タウリンの不足は肝機能の低下を招きます。
メチオニンは、肝臓の代謝機能を補助して血液中の悪玉コレステロール値を低下させます。メチオニンには、脂肪を乳化することで脂肪肝を防ぎ、肝機能を保護する働きもあります。
蜂の子に含まれるビタミンB群は「代謝ビタミン」と呼ばれ、脂質をエネルギーに変換する肝臓の機能に不可欠な成分です。
これらの成分は、肝臓の機能を補助して肝臓を守り、黄疸の予防に役立ちます。

漢方医学に影響を与えた伝統中国医学において、蜂の子は様々な効能を持つ薬として利用されてきました。以上のように、伝統中国医学における蜂の子の効能には、科学的にも一定の根拠があります。

ルーマニアでも治療に蜂の子が使われている

日本や中国だけでなく、東欧のルーマニアでも蜂の子が治療目的で利用されています。ルーマニアでは養蜂が盛んで、蜂の子は健康食品のひとつとされています。ルーマニアではアピセラピーと呼ばれるミツバチを用いた病気などの治療が行われており、蜂の子もミツバチ産品のひとつとして使用されています。

まとめ

蜂の子は食品としてだけでなく、漢方薬としても利用されています。漢方薬としての蜂の子は、主に耳鳴りの改善を目的として利用されています。漢方医学に影響を与えた伝統中国医学でも、老化防止など数多くの効能があるとされ、蜂の子は薬として使われてきました。これらの伝統医学における蜂の子の効能は、科学的にも確認されています。
蜂の子は多くの健康効果をもつことから、食品だけでなく薬として利用されてきた歴史があります。身体の健康増進に役立つ蜂の子を、いちど試してみることをお勧めします。

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