蜂の子を使った五平餅

蜂の子は古くから貴重なタンパク源として、主に山間部で食されてきました。蜂の子を使った郷土料理のひとつに、「ヘボ五平」と呼ばれる五平餅があります。

ヘボ五平とは

ヘボ五平とは、タレにすり潰した蜂の子を入れた五平餅のことです。「ヘボ」はクロスズメバチの地方名で、主に岐阜県の東濃地方や静岡県の山間部などで使用されています。これらの地方では江戸時代からヘボという言葉が使われていたことが、文献で確認されています。

五平餅は、粒が残る程度にすり潰したご飯を楕円形にまとめ、味噌や醤油ベースのタレをつけて串焼きにしたものです。五平餅は、岐阜県東濃地方や長野県木曽地方など中部地方の山間部に伝わる郷土料理です。
名前の由来には、神道において神に捧げる「御幣」の形に似ていることから名付けられたという説や、五平という人物が考案した料理という説があります。

五平餅は、江戸時代中期頃に山に暮らす人々によって最初に作られたと考えられています。米が貴重だった時代には、五平餅は主に祭りや祝いの場で食べられてきました。貴重なタンパク質である蜂の子を加えたヘボ五平は、当時大変なご馳走だったと考えられています。

ヘボ五平が食べられる場所

五平餅は中部地方のサービスエリアや道の駅などで販売されていますが、ヘボ五平はこうした場所では販売されていません。ヘボ五平の購入方法としては、ヘボ五平を提供している地域の飲食店を訪れるか、ヘボ五平が販売される地域のイベントに参加する方法があります。

産地の飲食店

蜂の子の産地として有名で、蜂の子のイベントが毎年行われている岐阜県恵那市には、ヘボ五平を提供している飲食店があります。ヘボ五平を食べてみたい場合は、電話などで確認した上で、こうした店を訪れてみるのもひとつの手です。

蜂の子のイベント会場

蜂の子の有名な産地では、秋に蜂の子に関するイベントが行われ、毎年イベント会場でヘボ五平の販売が行われています。

くしはらヘボまつり

蜂の子に関する最も有名なイベントが、岐阜県恵那市串原で毎年11月3日に行われる「くしはらヘボまつり」です。このイベント会場では、ヘボ五平や、「へぼめし」と呼ばれる蜂の子が入った炊き込みご飯が毎年販売されています。ヘボ五平は人気があり、売り切れになる場合もあるので、購入したい場合は早めに行くのがお勧めです。
このお祭りのメインイベントは、蜂の巣の大きさを競うコンテストです。クロスズメバチの養殖を行っている愛好家が、毎年自慢の蜂の巣を持ち寄ります。コンテスト後には、巣に入った蜂の子の即売会も行われます。

足助ヘボコンテスト

愛知県豊田市五反田町の八幡社では、「足助ヘボコンテスト」と呼ばれる蜂の子に関するイベントが毎年行われています。このイベントでも蜂の巣の大きさを競うコンテストが行われ、会場ではヘボ五平や蜂の子の炊き込みご飯が販売されます。

名倉はちサミット

愛知県北設楽郡設楽町でも「名倉はちサミット」という名前のイベントが毎年行われ、ヘボ五平が会場で販売されます。このイベントで販売されるヘボ五平は、醤油ベースのタレが使われており、他のイベントと違った味が楽しめます。
このイベントでも、養殖した蜂の巣の大きさを競うコンテストや、蜂の子の即売会が行われます。

ヘボ五平の作り方

ヘボ五平が購入できる場所は非常に限られていて、普段は購入が難しい食べ物です。食べたい場合は、自分で作るという方法もあります。ヘボ五平の作り方をご紹介します。

材料

  • 米 2合(もち米ではなく普通のうるち米)
  • 串 数本(割る前の割り箸など幅が広めの木材)
  • 味噌 大さじ 4
  • 砂糖 大さじ 4
  • みりん 小さじ 2
  • 料理酒 小さじ 2
  • 蜂の子 20g程度を好みで
  • ゴマ、クルミ、ピーナッツをお好みで適量

醤油ベースのタレを作りたい場合は、味噌を醤油とゴマに置き換えます。

作り方

(1) 米を炊きます。米にもよりますが、一割程度は水を控えて硬めに炊きます。名前に餅の字が入っていますが、五平餅は普通のうるち米を使用します。粘り気が少ない米の場合は、一割程度もち米を入れる場合もあります。

(2) すりこぎでご飯を潰すように練ります。練りが少ないと串につかず、多すぎると餅や糊のようになってしまいます。すりこぎを押しまわすようにして米を潰します。

(3) 一個分のご飯を両手で押さえ込みながら串につけて、楕円形に成形します。

(4) 串につけた五平餅を表面が乾くまで他と離しておきます。軽く火であぶって乾かす方法もあります。

(5) タレの材料をすり鉢でよく練り、タレを作ります。分量はあくまで目安で、各人の好みに合わせて味噌や砂糖の分量を調節してください。味噌ダレの粘度は酒やみりんで調節し、目安はジャム程度です。蜂の子も調味料と一緒にタレに入れてすり潰します。蜂の子はクルミやピーナッツなどと同じく、タレにコクを与えます。

(6) タレをつける前の五平餅を焦げ目が少しつくように素焼きした後、タレをつけて焼きます。炭火が一番ですが、コンロの場合は直火ではなく焼き網などを使用します。オーブントースターの場合は、串にアルミホイルなどを巻いて燃えないように保護してください。

五平餅を焼く香りは食欲を刺激します。「五平五合」という言葉があり、五平餅はついつい食べ過ぎてしまう美味しい食べ物という意味があります。
五平餅のタレは地域や家庭によって味が異なり、醤油ベースのタレも一般的です。家庭によっては、タレをアレンジして卵やシーチキンを入れる作り方や、カミキリムシの幼虫を入れる場合もあります。

五平餅の購入方法

蜂の子を使わない通常の五平餅は、中部地方の道の駅やドライブイン、高速道路のサービスエリアなどで販売されています。フードコート内のファストフード店で五平餅が販売されている場合もあります。
また、真空パックされた五平餅が販売されており、通信販売でも購入できます。こうした五平餅を購入し、別途購入した蜂の子をすり潰してタレと混ぜれば、五平餅を自作するよりも簡単にヘボ五平を食べることができます。

まとめ

蜂の子を使った郷土料理には、蜂の子をすり潰して五平餅のタレに混ぜた「ヘボ五平」があります。ヘボ五平は産地の飲食店や地域のイベントで販売され、購入の機会は限られています。食べたい場合は、蜂の子を用意して自分で作る方法もあります。五平餅は通信販売でも購入でき、蜂の子をタレに加えれば、より簡単にヘボ五平が作れます。
中部地方の郷土料理であるヘボ五平は、古くからの伝統食です。伝統の食文化を体験する意味でも、いちど食べてみることをお勧めします。

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